

井上執行役員に聞いた喜多村石油店のこと
【喜多村石油店にインタビューしてみた感想】
石油関係の仕事は、理系と文系とで仕事内容や就職のしやすさに差があると思っていましたが、お話を聞いてあまり差はないと聞いて驚きました。また、福岡という地域に合った新しい事業も展開し続けており、これからの石油関係の仕事がどのように発展していくのかも興味深かったです。
喜多村石油店が100年以上続いている秘訣や、福岡で起業した経緯についての話は、とても面白かったです。地元に密着して、お客様を大切にするという考え方は、魅力的な理念だと思いました。
喜多村石油店、菅さんに取材
*こちらは本社に併設するサービスステーションです
今回は、なんと創業明治44年(1911年)の老舗企業!ガソリンスタンドや石油製品の小売などを行う「喜多村石油店」を取材。喜多村石油店さんでは、福岡県内に20のサービスステーション(ガソリンスタンド)を運営されています。お話を聞かせていただいたのは福岡市南区の塩原S.Sで働く、菅(すが)さんです。
今日はよろしくお願いします。早速ですが、1日のスケジュールやお仕事の内容を教えてください。
時間としては、朝8時に出社して、夕方は6時までが基本です。見ての通り、ガソリンスタンドなので、給油作業、洗車、オイル交換だったり、そういった車に関する仕事をずっとやっています。なかでも僕は洗車を担当することが多いですね。
1日にどれくらいのお客さんの対応をされるんですか?
今日は雨だったり曇りなのでそれほど多くないですが、晴れている日であれば給油の行列ができて並ばれていることもありますよ。洗車が引っ切り無しに続く日もあります。
行列ができるって、すごいですね。ちなみに、ガソリンそのものは近隣のスタンドと比べてお得なんですか?
セルフのスタンドということもありますが、安いとは思います!
なるほど。それ以外にも、行列ができるのは秘訣があるんですか?
洗車のついでに給油をされたり、逆もあったりしますが、ウチの特徴として洗車の前に「予備洗い」という作業をしています。洗車機に入れる前に、ブラシが届かないところを洗うんです。これをやることで、仕上がりが良くなるんですよ。
予備洗い!初めて聞きました。他のスタンドではやっていないんですか?
あまり見たことないですね。多分それがきっかけになって、リピーターになってくれている方も多いと思います。「ここまでしてくれる所はないからね!」と言ってもらうことも、よくありますよ!
そうなんですね〜!その予備洗いは別料金になるんでしょうか?
いえいえ。もちろんサービスです。
それは、人気でそうですね!
夏場は水分4、5リットル
ガソリンスタンドとという職場で働かれていて、誇りに思うことや自慢できるところはどこですか?
日頃の生活ではできないようなことが、できることですかね。例えば、オイル交換とか(笑)なかなか自分ではやれないじゃないですか。
あ〜なるほど。車のつくりや仕組みも、わかってきそうですね。
車に乗る方であれば、洗車は自分ですることもあると思いますが、車好きな方でなければ、そんなところまではなかなかやらないですよね。エンジンルーム内をあけて作業するのは、なかなか難しいかと思いますし。
確かにそうですよね。ここのスタンドでは、「車検」もされているのですか?
はい、やっています。ただ、車検に関してはあくまで受付をここでやって、そのあと工場に持っていく流れになります。「自動車整備士」という資格を持っていたら、工場への移動とか、車検そのものもできたりします。
自動車整備士・・・そういう資格があるんですね。
次の質問ですが、この仕事で大変なことや辛いことはありますか?
辛いこと・・・そうですね。年末になると、お客様がたくさんいらっしゃるので、純粋に忙しいというところでしょうか。例えば企業さんも社用車を洗いに来られたりするので、すごい時は、3列くらい洗車待ちの方が並ばれたりします。自分は、洗車を担当することが多いので、年末はやっぱり大変ですね。
3列も!なんとなく年内に綺麗にしておきたいというのはわかりますけど(笑)
全ての車で、先ほどの「予備洗い」をされるんでしょうか?
そうなんです。やっぱりそれが好評だからですね。すごく忙しい時、9時から17時くらいまで連続で洗い続けたことがあって。それはなかなか辛かったですね。とにかく必死だったので時間もわからず、ちょっと落ち着いてきたのをみて、中に戻ったら、時計の針が17時だったという感じです(笑)
時間を忘れるほどだったんですね(笑)
そうなんです。あとは基本的に、外仕事で立ちっぱなしになるので、夏は暑い。冬は寒いっていう気候の面での大変さもありますかね。もちろん、これは当たり前なんですけど、慣れるまではなかなか辛かったですね。夏場だと、1日で水分を4〜5リットルくらい飲んでたんじゃないかなっていう気がします。ペットボトルの水が欠かせないです。
本当に、体力がいる仕事ですよね。
そうですね。体力もいりますし、精神的な強さも、両方必要かなと思いますね。
男性じゃないと厳しいなって思うことはありますか?
う〜ん、いま外に見える女性の方がいると思いますが、あの方も夏場、同じように1日働いていますよ。
すごいですね。
もちろん、仕事だからどんな状況でもやるっていうのもあるとは思いますけど、みんな頑張ってやっていますね。「寒い」、「暑い」が口に出てしまうことはありますけど(笑)
「自ら進んでやっていくこと」が大事
仕事のやりがいや、嬉しかったことを教えて下さい。
そうですね。やっぱりお客様と接していくうちに、常連さんとか顔なじみさんができてくるんですね。目が合った瞬間から呼んでくれて、気軽に話しかけてくれるんですよ。
あ〜それは嬉しいですね。
入ったばかりの頃は、自分がもともと人見知りっていうのもあって、接客で話すのもちょっと苦手だったんですよ。でも仕事を通して縁ができて、他愛ない話をしてくれる人ができてきたりして。「オイル交換よろしくー!」って、声をかけてもらったりするんですよ。
頼りにされているようで、嬉しいですよね。
「信頼関係」とまで呼べるかどうかはわからないですけど、そういう関係が自然と出来上がって、呼んでもらって、「あれして」「これして」と言ってもらえるのはやっぱり嬉しいですね。仕事としては、本来こちらから「これどうですか?こうしませんか?」という風に提案をすることが大事なんですけど、逆にお客様の方から言ってもらえることもあったりして。これは本当に嬉しいですね。
ガソリンスタンドでのコミュニケーションって、あっという間の短い時間しかないと思っていましたが、そういった良い関係も築けるんですね。ほかに喜多村石油店の魅力的なところはありますか?
そうですね。「やったらやった分だけ成果が出る」ところですかね。どの仕事もそうかもしれませんが、ガソリンスタンドの仕事も覚えることがいっぱいあります。いろんな仕事を自分から進んでやっていけば、自然と体で覚えて、いつの間にか何でも対応できるようになるんですよ。それが、やればやる分自分に返ってきているという感触で、おのずと結果も見えてきます。
「自分から進んでやっていく」って、いいことですね。いざ実践するのは難しいかもしれませんが(笑)
そうですね。でも、頑張っていたらいつの間にか、さっきみたいにコミュニケーションが取れるようになった感じはします。仕事がきっかけで仲良くなって、ご飯行ったりするような仲になった方もいますよ(笑)
えー!面白い縁ですね。
まぁ、ひとり、ふたりの話ですけどね。時々そういうつながりができることもありますね。一瞬の縁だからこそ、緊張することもあります。給油時間のあの短い時間の中で、信頼を築けるかどうか・・・精一杯接しています。
おひとりおひとりに全力なんですね。
ですね。あと良かったなって思うのは、いろんな職種の方と会話できることですね。それは面白いポイントですね。外仕事ならではのコミュニケーションもあると思うんですよね。多分ですけど(笑)
そう聞くと、出会うお客さんの数が多いというのが、メリットに思えてきました。仕事のモチベーションを保つ方法は何かありますか?
それも同じく、お客様ですね。仲良く接してくれる方がいるからこそ、仕事を続けられていると思います。もちろん、傷つくようなことを言われたこともありますけど、それもしょうがないと思って飲み込みます。そんなショックも、なんだかんだで、色んなお客様と面と向かって接することで救われていますね。
ガソリンスタンドでの仕事に必要な資格とは
ガソリンスタンドで働く上で必要な資格や持っていた方がいい資格はありますか?
そうですね、ガソリンを扱うので、危険物取扱者の資格は必須になりますね。
甲、乙、丙など色んな種類があるんですよね。大学の在学中に取れるものもあるようなので、興味あります。その他には何かありますか?
あとは、経験を積んで先ほども言った「自動車整備士」の資格を取るという流れもありますね。もちろん、そういった専門の学校で整備士の資格を取ってから、就職される方もいますよ。
働きながら、整備士の資格を目指すこともできるんですね。
自分もちょっとまだどうしようか迷っているので、詳しくはないんですけど、実務経験が必要になってくる資格なので、働きながら目指すというのは、アリだと思います。本当に目指す場合は、詳しく調べてみてくださいね(笑)
わかりました(笑)話は変わるんですけど、喜多村石油店では、就職時に文系と理系の差というのはありそうでしょうか?文系だと難しいとか・・・
それは、そんなに無いと思います。文系だから、理系だからというのではなく、結局は人に対する仕事ですからね。みんな最初は、現場から始まり、やることは同じです。頭より体で覚えるって感じですかね(笑)だから文系でも理系でも、どちらでも歓迎ですよ。
地元を離れ福岡へ、入社の決め手は?
喜多村石油店との出会いはなんだったんですか?
出会いは、学校の説明会ですね。
ここに入社しよう!と決めた理由はありますか?
決め手ですか〜そうですね。出身は文学部なんですけど、自分は営業をやってみたいなと思っていたんですね。この仕事では、数多くのお客様が来るじゃないですか。色んな方が来て、そこでひとりひとりまた違う話ができることで、色んなことが学べるかなと思ったんですよ。そんな経験は自分に吸収できるんじゃないかなという気がして、この会社を選びました。もうひとつは、やっぱり福岡に来たいっていうところですね。地元は大分県なんですけど、福岡の企業で働きたいという気持ちもありました。
福岡で働きたいっていう気持ちは以前からお持ちだったんですか?
少し悩みましたよ。大学は久留米の方だったので、最初は大分のほうに戻ろうかなという気持ちもあったんですけど、やっぱり福岡が楽しいなって。まだ20代ですから、この先どうなるかは自分でもわからないですけど、まずはしっかり福岡で働いて、と思っています。将来的には何かきっかけがあれば、地元に戻ることもあるかもしれないですが、まずは自分が今できることをしたいなという決断で、福岡で働くことを決めました。
何事もまず経験してみること
学生時代に知っておいた方がいいことや、経験しておいた方がいいと思うことはありますか?
自由な時間を活かして、色んな場所に行っておいた方がいいなっていうのはあります。仕事をし始めると、なかなかまとまった自分の時間っていうのは取れなくなってきますからね。アルバイトをして、お金をもらったら、学生時代の長い休みを使って、行ってみたいところには、できる限り行ってみてください。
菅さんも色々行ってみたんですか?
自分の場合は、ずっとバイトばっかりしてて。結構、やれなかったことや行けなかったことがあって、悔いが残ってるんですよね(笑)これはあくまで、自分の考え方ですけど、2年生くらいまでは好きなことをしつつ、例えば趣味とかが見つかれば、その趣味をもうちょっと延長させてそれを仕事にするのもいいかと思います。
色んな経験が、自分をつくるような感じでしょうか。
そうですね。遊びも趣味もバイトもですけど、結局ああだこうだ言っても、経験をしてみないとわからないし、始まらないと思うんですよ。
なるほど。気になったことは、思い切ってやってみるようにしたいと思います。では、最後にこれから就活をする学生に向けてのアドバイスはありますか?
具体的に将来やりたいことが決まっているんだったら、その業種の会社でインターンシップなどに参加した方がいいと思います。まだ漠然としていて、これから探していこうっていう感じであれば、とにかく少しでも興味があるところには説明会などに行ってみることですかね。夢とかやりたいことは、大学を卒業するまでに見つかるかどうかもわからないですし。就職活動の途中でも、やりたいことが見つかったら、それはいいことだと思います。自分のやりたいことが見つかれば、頑張れますからね。
色々とチャレンジして、自分のやりたいこと、考えてみます!今日はありがとうございました。
【企業情報】
株式会社 喜多村石油店
〒812-0007 福岡市博多区東比恵1-2-16(本社)