INTERVIEWS
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福岡大同青果 株式会社

福岡県福岡市東区みなと香椎3丁目1番1-204号

更新日 : 2018年2月23日
大学生編集部の私たちが聞きました!
たかた
早起きと野菜と果物が大好き!!

丸小野社長に聞いた福岡大同青果のこと


【福岡大同青果にインタビューしてみた感想】
はじめは予想をはるかに超えた大きさの市場と迫力ある「せり」に圧倒されました。社長さん、社員さんとのお話しを通して、昔から変わらないスタイルの「せり」ならではの魅力を存分に知ることができました。お店に並ぶ青果物を当然のように見ていましたが、こんな風に知らない世界があるんだ、と将来の夢を考える幅も広がりました。

福岡大同青果を取材!

みなさん、「せり(競り)」という言葉を知っていますか?
せりとは、商品を購入するために、たくさんの買い手がそれぞれの購入価格を提示し、もっとも高い値段をつけた人が買えるという取引方法です。今回は、福岡市唯一の青果市場で青果物の販売を行う「福岡大同青果株式会社」さんを取材しました!

・・・ところでこの「せり」。とても朝早くから行われるんです。
この日の集合時刻は朝の6時半。はたらくふくおか史上、もっとも朝が早い取材となりました。それはさておき、現場に到着。早速、せりの現場を見学させていただきました。


すごい活気!!早朝から、こんなにたくさんの人が集まり、声が飛び交う風景はとても非日常的に感じました。

 

きのこ類を担当する谷さん


一人目の取材は、この方です。野菜の販売を担当している、野菜第1部所属の谷さんにお話を伺いました。


今日はよろしくお願いします。初めてせりを見て、本当に驚きの連続でした。
最初の質問ですが、谷さんが取り扱っている品目は「きのこ類」でしたよね?どんな種類を担当されているのですか?


メインは、みなさんご存知のしめじ、えのき、エリンギですね。あとは舞茸、なめこですね。その他にも色々ありますが、しいたけは別の担当者になります。


えっ!?しいたけは別なんですね。


そうなんですよ。きのこは品目が多いので、2人で担当しているんです。


なるほど〜。例えばですけど、「これは、いいしめじだなぁ」っていうような、見分け方は、何かありますか?


しめじなら粒が揃っていて、綺麗にまとまっているなぁとか。えのきだったら、色が白くていいなぁとか。
スーパーなんかで見て、違いを見極めるのは、なかなか難しいかもしれません(笑)


見極めるのはプロでも、難しいことなんですね!

 

この仕事に就いたきっかけと、意外な学生時代


福岡大同青果で働きたいと思ったきっかけは何ですか?


以前、この青果市場は博多区の竹下にあったんです。僕がまだ小さい頃、よく祖父に、その旧青果市場に連れていってもらってたんですよ。
いざ就活を始めた時に、たまたまこの福岡大同青果の求人募集を見つけて。「あ〜!これ、昔じいちゃんに連れていってもらっとった所や!」ってハッと思い出したんですよね。それがきっかけで、応募しました。


谷さんにとって、思い出深い場所だったんですね。ちなみに、大学は農業系の学部に通っていたんですか?


いえいえ!全く関係ないです。大学は法学部でした。
しかも大学生活では、なにより野球に一生懸命でした(笑)



そうなんですか!?
専門性が高いお仕事なので、農学部出身なのかと想像していました。


卒業した学校が農業関係じゃないという社員は、僕以外にも結構いますよ。というかそっちの方が多いと思います(笑)


えぇ〜!!(笑)
農業系の学校卒でなくても就職できるとは、意外です。


僕も最初は農業系でないと就職できない会社だと思っていました。
ですが、採用してもらえました(笑)

 

「せり」ができるようになるまで


「せり」を仕切るためには、何か試験や資格が必要ですか?


必要ですね。「せり」を行う人を「せり人」と呼ぶんですが、その名の通り「せり人試験」というものがあります。その試験は、入社して営業部門で3年経験を積むと、開設者(福岡市)が実施する試験を受ける権利が得られます。そこで試験に合格すれば「せり人」の資格が得られるという感じですね。


あれは一体どうやって、訓練するんですか?



せりも、人によって色んなスタイルというか「個性」があります。その中でも上手な人がいるんですよね。
なので、上手な先輩たちのせりを見て、誰の真似をしようかなって決めて、本当に真似するところから入ります。そうこう真似をしている内に、いつの間にか「自分のせり方」ができているといった感じでしたね。


なるほど〜。それとせりの現場には、若い方があまりいらっしゃらないなという印象がありました。


そうですね。僕より結構、年上の方ばかりですね。業者のみなさんは、僕の祖父とか父くらいの年齢の方が多いです。ただ、関係としては堅苦しくなく、どちらかと言うと友達同士のようなコミュニケーションも大事にしています。もちろん、失礼にならないようには気をつけていますが(笑)
親しみやすさも、ウチの会社のいいところかなって思いますね。

 

頭が真っ白になった、はじめてのせり

*実際の「せり」の様子(動画:22秒)


それからせりの時の、あの言い回しとか、リズムがすごく独特だなって思いました。あれは、やっぱり現場でないと出来ないものですか?


はい。まさに。「いまここで競ってみてください」って言われても、ああいう風には出来ないんですよね。せり台に立って、初めて出来ます。始まれば、あとは勢いで進めていきますね。


となると、人生初のせりでは、ぶっつけ本番のような状態だったんでしょうか?


そうですね。せり人になって1週間後くらいに、試しに競ってみる機会がありました。本当にぎこちない感じで、何を言ってるのか全然わからないですよ。パーっと、言うことが飛んでしまって、頭も真っ白になりましたし(笑)


血気盛んな人も多そうなので、色々と言われそうですね(笑)


はい。それでも、自分がせりを進めていかないと終わらないから必死ですよ。でも、慣れない頃は「この3個だけ競ってみて」という風に先輩や上司に配慮してもらってましたので、本番ですけど、練習のような感じもありました。


その時は、初心者マークみたいなものをつけたりしたんですか?


形としてはないです。ただ、業者の方々からすると、僕の顔を見れば初心者だってわかります。
新人は、顔そのものが初心者マークですね(笑)
「おっ、こいつは新人やな」っていうのは、皆さんわかっているので、優しく接してくれましたね。

せりの仕組みと買い手のクセ


改めて、せりの仕組みについてなんですが、ある商品について、買い手が買値を提示して、一番高い買値の方に販売するというものですよね?


そんな感じです。


せりの現場を見ていて、何度か買値の数字が同じ方々がいるように見えました。競り落とす方からすると、横の方の札は見えないはずなのに、金額が揃うというのは、競り落とす側にも「相場」のイメージがあるからでしょうか?


その通りです。書いてあったあの数字、1円単位ですからね。


1円単位までですか!?すごいですね。
それと、数字の書き方や桁数も人によって、違いがあるように見えました。110って書く方もいれば、11と書く人もいたような…。


よく見てますね。人によって、書き方もクセがありますからね。だから、その人のクセも含めて覚えています。暗黙の了解というか、阿吽の呼吸というか。例えば、100円を1と書く人もいらっしゃいますよ。


いや〜、やっぱり難しい(汗)


慣れてくれば、普通に見えるようになりますよ(笑)


せりに慣れるまでにはどのくらいかかりましたか?


半年から1年くらいはかかりましたね。


なかなか長い道のりですね〜。
それと、せりの言葉はかなり早口で、しかも色んなところから同時に札があがっていましたよね。あの状態を一瞬で判別するのは、一体どうやっているんですか?視力がいいんですか?(笑)



僕の場合、「この商品についてはある一定の価格以下の札は見ない」とかそういったルールを、商品ごとに決めています。それぞれの相場を頭に入れておけば、それが出来るようになります。確かに全部見ていたら、かなり大変ですよね。逆に言うと、自分がイメージしていた相場よりも高い金額が出ていれば、ポーン!とすぐに決められます。


なるほど〜。


あと大切なのは勢いです。


仕事のやりがいを感じる部分はどのあたりでしょうか?


一番感じるのは、生産者の方々に「あんたに任せとって良かった」と言っていただいた時ですかね。僕は今、きのこを担当していますけど、きのこは夏場、売れにくいんですね。でも、そこで頑張って出来る限り多く売り上げて、生産者のためになれたらと思っています。

 

将来の夢はラーメン屋!?


谷さんの将来の夢はなんですか?


今、入社して7年目になりますが、やっぱり担当の品目を持つうえで、まずは福岡大同青果という大きな看板に恥じないような仕事をしたいですね。かなり先の話というか、将来の夢を言うと、いままで仕事を通して知り合ってきた人達が集えるような場所を作ってみたいですね。


と言いますと?


実は大学時代、修行も兼ねてラーメン屋さんで働いていて。
なので、定年退職した後に自分のラーメン屋を持てたらいいな、なんて考えたことはありますね。
なかなか食べたことないような、野菜や、きのこの色んな食べ方を伝えていけるラーメン屋みたいな。生産者のみなさんにもそれで喜んでもらえたら最高ですね。



ぜひ、お店ができたら食べてみたいです。
ありがとうございました!

 

果物担当、松本さんの仕事


続いて、果物の販売を担当している、果実部所属の松本さんにお話を伺いました。


よろしくお願いします。早速ですが、松本さんは、野菜や果物が小さい頃から好きだったんですか?


そうですね。食べるのは好きでした。でも家が農家とかそんなことはないです。


私も果物食べるの大好きなんですよね。


果物は何が好きですか?


色々好きなんですけど、今日は、リンゴと柿を食べてきました!


なるほど!私は、もともとブドウとか梨が好きだったんですけど、入社して一番好きになったのが柿ですね。



おいしいですよね、柿。柿って、意外と種類も多いですよね。


そうなんですよ。季節や産地によって、品種が異なりますからね。色々食べ比べてみると、面白いと思います。秋から冬にかけて、富有柿(ふゆうがき)というのがあって、中でも美味しいものを食べたら、その味を忘れられなくなるくらい美味しいです。富有柿は個人的には、一番おすすめの柿ですね。

 

せりよりも「アイタイ」売りが多い?


一日の仕事のスケジュールはどんな感じですか?朝が早いのが特徴かなと思いますが。


そうですね、5時には起きて、5時半過ぎには現場に着くようにしています。
朝7時からせりが始まるので、そこが基準になりますね。事前の準備を1時間くらいやっていて、せりが終わるのは大体8時半から9時ころですね。
その後、競った商品を確認して、小売店への伝票を準備します。午前中は、そんな感じです。昼からは、「アイタイ」という形式で販売の仕事をします。


「アイタイ」ですか?


はい。アイは相、タイは対で「相対」売りと言います。売り手と買い手が1対1で、話合いをして、取引することですね。
実は、「せり」で販売している青果は、全体の取扱量の1〜2割なんですよ。残りはこの相対売りがメインです。
農協さんや、生産者の方に出荷してもらうため、販売先ごとに注文を取ってから、振り分ける作業(分荷作業)を行ってます。


そうなんですね〜。
せりでもすごい量があるなぁと思っていましたが、あれで1〜2割なんですね。


*せり場から奥に進むと、巨大な低温施設がたくさん。相対売り用の青果はここに保管されているそうです。

 

固定せりと移動せりの違い


そういえば、先ほどの谷さんのせりでは、買い手の方々が階段状に並んで動かずにせり落としていましたが、松本さんの方のせりでは、みなさん動きながら競っていましたよね?あれはどう違うんですか?



それは「固定せり」と「移動せり」という風に言います。固定せりの方は、商品の見本を見て売り買いしますが、移動せりの方は、実際に買ってもらう商品を目の前で見ながら売り買いしていきます。なので、動きながら競るんですね。


なるほど〜!そういえば、移動せりの時は試食用のみかんが置いてあって、買い手の方々が実際に味を確かめていましたね。


そうですね。また専門用語ですけど、「共選」と「個選」という違いがありまして。
共選の青果物は、農協で例えば糖度などの基準で選別されているため一定の質が保たれています。一方で、個選の青果物は、農家さんから直接仕入れたりしているので、実際にものを見て、食べてみて、買うかどうか判断するという特徴があるんですね。



それで、皆さん試食をされていたんですね。


食べてもらって、良いものであれば高く買ってもらえますからね。果物はとにかく味が大事ですからね。


たしかに!

 

「人付き合い」が大切な世界


先ほど、谷さんから「相場」についての話を聞きました。ちょっと変な話なんですけど、もし、なかなか値段が相場まで上がらない時は、せり人が粘って待つことってあるんですか?


う〜ん。ないとは言い切れないですね。育てた手間に見合わない価格だと、生産者が意欲を無くされることになりますからね。いかに、適正な価格で販売ができるかは重要ですよね。万が一の時は、せりなんですけど、そのシーンだけ、買い手さんに交渉をする場合もあります。


提案というか、お願いというか。


そうですね。それこそ「人付き合い」の世界ですかね。「そんなら、一山(ひとやま)買おうか」ということで、買ってもらったり。せりでも、時々そんなことがありますね。


あの短い時間のなかで、そんなドラマが繰り広げられているんですね。



はい。でも基本的には、スピード感が大切です。
勢いのあるせりは、買い手も乗ってきて高く買ってもらうこともあるんですよ。常に状況を見ながら、せりのスピードを調整していますね。
少し引っ張ったほうが高くなるのか、急いだ方が高くなるのか。うまいせり人はそこまで考えてますね。


プロの技!っていう感じですね。
それと、谷さんから、せり台に上がらないと、せりはできないと聞いたのですが。松本さんはどうですか?



そうですね〜。同じです。例えば、「今からここで競ってみてよ」って言われても、絶対競れない。
恥ずかしいっていうのもあるけど、かなり声を張っているから出来ることですからね。よく友達とかに「せり見せてよ」って言われるんですけど、物も無いのに競るのは、まず無理ですね(笑)


松本さんは、最初のせりをした時、どんな感じでしたか?


一発目のせりは、ものすごい緊張しましたね。
本番の日がやってくるまでは、先輩たちがどういう風にせりをしているか、考えながら見て、「こうしよう、ああしよう」とずっとイメージしていました。でも横で見ているのと、実際に競るのは、ぜんっぜん違います。横で見ている時は、正直「なんでこういう風に競らんのかな」とか思ってましたけど、いざ自分が競るとなったら全く余裕がなくて。「おーい!!」って買い手に言われたこともあります(笑)


ドキドキですね(笑)

 

人と人のつながりこそが魅力


松本さんが、感じる福岡大同青果の魅力はなんですか?


魅力は、人と人との付き合い、つながりが広いところですね。
たくさんの生産者や業者さん、小売さんとのつながりを大事にする社風なんですよね。会社の社員同士でも、その雰囲気があると思います。


あたたかい雰囲気でいいですね。


毎日の取引の中や、せりの時もそうですけど、この商売は、つながりが無いとやっていけないんですよね。例えば、物が売れない時、そもそも物が少ない時、いろんな事があっても取引が出来ているのは、やはり人との付き合いを大事にしてきた会社だからだと思います。そこが魅力かなと思います。



素敵ですね!


特に生産者の方とつながることが多いんですけど、これまでは見えていなかった部分、例えば苦労されていることなんかも見えてきて。純粋に安ければ売れるんですけど、そういう生産者の苦労が見えてきたからこそ、簡単に安く売ってはいけないなと思っています。


だからこそ、農家さんから信頼されて、大事な商品の販売を任せてくれるわけですよね。


そうですね。その積み重ねですね。出荷会議や反省会、長い期間の時は中間検討会なんていうのもあるんですけど、生産者から「お前で良かった」と声をかけられるとやっぱり嬉しいですね。


いいですね。
最後になりますが、これから先こんな果物や野菜を売ってみたい、というものはありますか?



あります!
各部署で取り扱っている品目が違うんですけど、自分は今、果実一課で「福岡県の果物」の担当なんですね。例えば、柿、みかん、いちごとか。福岡県は、意外と果物の種類が豊富なんですけど、リンゴはあんまりないんです。いつかチャレンジしてみたいですね。
欲を言えば、果物全てをもっと知っていきたいですし、いずれは野菜も含めて、「青果物のスペシャリスト」になりたいなと思っています。


青果物のスペシャリスト!かっこいいですね。
今日はありがとうございました!

 

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【企業情報】
福岡大同青果 株式会社
〒813-0019 福岡市東区みなと香椎3丁目1番1-204号